Canon EOS 5D Mark III (Nauticam) 8-15mm 自然光 f9 1/160秒 ISO160 石垣島ヨナラ水道 水深30m

入賞者からのコメント

実はマンタの撮影はあまり経験がありません。この写真の撮影地のヨナラ水道も初めての場所でした。特に狙いを持たず、いいシーンがあればとりあえずシャッターを押そうと思っていました。いつも撮っているサメと違って、マンタはあまり逃げないので、最終的にとんでもない枚数になって驚きました。

写っているダイバーはヨナラ水道に誘ってくれた友人のひとりです。マンタが好きな人で、撮影用にポーズを取ってもらったわけではなく、自然な一場面です。RAW データの時点でやや暗めだったので、もう少しヨナラ水道向きの設定を考えて撮ればよかったと思いました。

好きな被写体はサメ。特にハンマーヘッドシャークが好きで、冬の間は与那国島に長期滞在してハンマーを撮影しています。与那国島のハンマーは個体が大きく群れに迫力があります。また、のんびり寝ているような個体が多いので近づきやすいのがうれしいです。

ハンマーヘッドの撮影ではなるべくストレスを与えないことを意識しています。基本的に、まずは十分な距離を開けつつダッシュでサメの前方に回り込みます。サメのコースに入ったら、息と動きを止めて、なるべく直視も避けながら無関係な物体のフリを。ゆっくりとフィンを動かしてポジションを微調整して、撮影範囲内にサメが来たら連写! という感じです。回り込めず並走になったり、寄りすぎて驚かせてしまうこともあり、まだまだ修行中です。

サメの表情や人との関係性が見える写真を撮りたいと思っています。サメの強さや迫力も好きですが、もっと美しく柔らかいイメージも撮れるようになりたいです。ただ、写真がマンネリ化してきているので、これからは違うポイントを探したり、水中モデルを起用したり工夫していきたいと思っています。

今回、日本最大級といえる水中フォトコンの第1回であること、応募写真の自由度が高いことなどが魅力的だったので応募しました。自分の主題であるサメではなくマンタの写真が選ばれたのは少し複雑ですが、ある意味いちばん自然体で撮ったものが評価されたのはうれしいです。

Profile

吾川真之 Masayuki Agawa

サメを中心に、いわゆる大物を撮りたくて水中写真を始める。夏~秋は神子元島に滞在、冬の間は与那国島に滞在してほぼ毎日撮影で潜っている。「サメが好きで、一番多く潜っているのは与那国島です」。UPY 2023 Marelux Wide Angle 受賞。水中写真歴8年、ダイビング歴9年で1900本。米国在住のプログラマー。

審査員からのコメント

第1回目を飾るグランプリにふさわしい作品だと思いました。この方は合計5点が一次予選通過されてますが、どの作品も迫力があり美的であり、撮影技術の高さとすばらしい撮影センスをお持ちの方だと感じました。人物の配置も的確で画面を締める意味でも完璧です。マンタのシルエットを入れ込むことも計算に入れ俯瞰で撮ったのでしょう。影もとても効果的です。誰が見ても、うわ〜と歓声が上がる作品ではないでしょうか。(中村征夫)

多くの人から共感がもらえる作品だと思います。ストレートに撮られていて、「こんな写真を撮ってみたい」と多くの人に思ってもらえるのではないでしょうか。すごい作品には説明はいらないですね。見て気持ちがいいし、色合いもいいです。(清水淳)
 
グランプリは日本の海で撮影した作品であってほしいと考えていました。この作品は石垣島のマンタですが、同じ方が撮影したハンマーヘッドシャークの作品がすごく好きで、グランプリでもいいなという気持ちもありました。ハンマーヘッドにあそこまで寄れる技量、それを絵にできる力量というのが僕にとってはちょっと驚きでした。それだけ力のある方ですね。(鍵井靖章)
 
「うおっ~」と思うようなシーンです。撮影地は石垣島。僕も何回か潜ったことがあるポイントですが、潮の流れが速くて、水深も深い。かなりスキルが必要な状況の中で、ダイバーを入れて構図もきれいに決まっています。連写で何枚も撮られているかもしれませんが、その中でもきれいに収まっています。深いのに色味もきれいです。迷わずに選びました。(関戸紀倫)