Canon EOS 5DmarkⅢ(Nauticam) 100mm Z-240 NA SMC-1 f10 1/125秒 ISO100 北海道函館 水深3m

入賞者からのコメント

好きな被写体はごっこ(ホテイウオ)。ハッチ後の稚魚が海藻に乗っているシーンがかわいくて好きです。通常、ごっこの撮影は1月頃まで抱卵、孵化後の稚魚が出てくるとそちらにシフトするのですが、この年は4月でも観察をしやすい場所で抱卵していました。5月に入っても「まだ抱卵しているよ」と聞いたのでハッチが見られるかもしれないと思って行きましたが、親がミズダコに襲われて死んでしまっていました。抱卵中、親が新鮮な海水を送ったり、近づくヒトデを追いやったりとお世話している姿を見ていたので、死卵が多くなった卵塊を見て悲しかったです。中身が真っ白になった卵が多い中まだ生きている個体もいたので何とか生き残ってほしい、この姿を残しておきたいと思いシャッターを切りました。ごっこはオスが岩陰の奥で抱卵するので、チャンスは少ないですが、いつかハッチシーンを撮影したいと思っています。

Profile

田中香織 Kaori Tanaka

北海道在住。初めて函館のダイビングショップ〈グラントスカルピン 〉に行ったとき、そこで撮影された写真に衝撃を受けて本格的に水中写真をスタート。今も月に1 ~ 2回通っている。「通いやすいこともありますが1年を通して魅力的な被写体がいること、生態や撮影のアドバイスがもらえることが理由です」

審査員からのコメント

目があったんですよ、卵の中の子と(笑)。周りの卵はハッチしたのか空になっていっている。そこにポツンと1つ残っている。今、出るぞ、という感じでいるのか、残っちゃった、と思っているのか。外の様子は見えていて、自分が置かれている状況はわかっていて、この後どうなっていくのかな、という不安と期待が入り混じったような気持ちでいるのではないだろうか。すごく狭い空間なのですが、いろいろなことを連想させてくれる素敵な写真だと思いました。単純に、空になった卵もきれいでいいですね。(古見きゅう)