入賞者からのコメント
撮影地は南アフリカ。サーディンランに参加した初日でした。ビーチ近くは荒れていてゴムボートで出航するのに苦労しましたが、外海へ出るとわりと落ち着いていました。小型飛行機で探索しているパイロットから連絡が入り、全速力で指示の地点へ向かうと、海鳥の大群がものすごい勢いで、ひっきりなしに次から次へと海へ飛び込んでいました。キャプテンの合図で海に飛び込み海鳥の場所まで泳ぎます。水の中では、まるでミサイルが投下されているかのような大きな音がドン、ドンと響き渡り、海鳥に加えて数十頭のイルカやサメが次から次へとベイトボールに向かって突っ込んで行きます。しばらくすると、ベイトボールもなくなり彼らも思うようにイワシにありつけなくなってしまいます。それでも、海鳥はしばらくの間ダイブを続けました。その瞬間が今回の写真です。
Profile
山口勝憲 Masanori Yamaguchi
もともと旅好きだったが、家族に誘われてダイビングを始めたのは約2年半前。本数を重ねるうちに、この光景を人に見せたいという気持ちが高まりGoProデビュー。そこから水中撮影の道が始まり、現在は一眼派だ。「大物全般が好きですが、サンゴも半水面も好きです」。2023年は200本弱潜った。東京在住・会社経営。
審査員からのコメント
見た瞬間、笑ってしまった。1枚の作品で人を笑わすのは簡単なことではないし、笑わそうとしても人は笑わないものです。ユーモアを表現するのはなかなか難しい。撮影地は南アフリカだからサーディンランを狙って出かけたのだろうか。イルカがいるところを見ると、イワシはさっきまでいたのかもしれない。カツオドリのやる気は、水中に残る泡のすごさで伝わってきます。そして「あれ!!いないの?」というギャップ。文句なく最高傑作です。ところで作者はサーディンランを撮れたのだろうかと、想像力をかきたててくれるところもニクいです。(中村征夫)