ウキウキな黄昏
Canon EOS-1Ds Mark III(プルーフ) 8-15mm f10 1/320秒 ISO200 小笠原諸島・父島 1m

入賞者からのコメント

撮影地は小笠原の父島です。日が傾くのが早い2月の3本目のダイビングでした。エキジット間際、太陽がきれいだなぁと思って眺めていたら、たくさんのヒカリボヤが流れてきて、その中の1つにサガミウキエビが乗っていました。ヒカリボヤとエビの透明感が逆光の中でとてもきれいでした。傾いた太陽のややグリーンがかった光芒もいい感じだったので、太陽光が飛ばないようにISOと絞りを調整して、できるだけエビの質感が出るようにストロボを強めにあてて撮りました。

エビが逃げないようにゆっくりと近づき、アワをかけないように気をつけました。ヒカリボヤにエビが乗っている場面は出会うと何度でも撮っちゃう被写体です。

カメラを通して生物たちを見ることで世界が広がります。「もっと見たい、もっと出会いたい」という好奇心が撮影を続けている原動力です。

今井寛治
Profile

今井寛治 Kanji Imai

水中写真歴38年の大ベテラン。子どものころTVドラマ「わんぱくフリッパー」を見てダイビングにあこがれ大人になったらやろうと決意していたという。写真コンテストの入賞経験多数。年間45 〜60日は海へ。岐阜県在住。自営業でホームグランドは和歌山県串本と小笠原。

審査員からのコメント

海中を漂うヒカリボヤとそれに乗るエビでしょうか。太陽を効果的に取り入れ、逆光で素晴らしい作品を作り上げられました。ヒカリボヤが透き通り、生き物とは思えない構造を露わにし、またエビも透明な体を透かして内臓の位置まで完全に露わになっていて、まるで特殊装置を使って見ているような、不思議な作品です。無重力感とともにエイリアンのような生物たちの姿が、まるで宇宙空間の1コマを見ているような感覚にさせてくれます。夕方の光なのか、画面下部が暗く落ち、上部が淡いブルーのグラデーションになっていて、美しさもひと際です。(高砂淳二)