入賞者からのコメント
よく晴れた凪の良い日、ビーチエントリーしてすぐのアマモの生い茂る砂地で撮影しました。アマモは海中で花を咲かせる海産種子植物で、陸上と同じ営みが海で見られるということを教えてもらっていました。以前から非常に興味は持っていましたが、この日は光合成の酸素玉を狙っていたので、まさかそのシーンを自分が目の当たりにできるとは思っていませんでした。アマモが生い茂っているため、肉眼で見つけてもファインダー越しにその1本を見出すのは大変でした。また、少しでも揺らすと、酸素玉は上がっていくし、花弁も舞ってしまうので水流を作らないように苦労しました。
Profile
酒井郁子 Ikuko Sakai
北海道在住のアパレル系デザイナー。ライセンスだけ欲しくて講習を受けたが、初めて見た海中が新鮮で大興奮。続けることに。生態を教えてくれるガイドに恵まれて世界が広がったそうだ。水中写真歴は12年。ホームグランドは函館市臼尻。2週間に1回のペースで潜っている。
審査員からのコメント
普段は主役にはならないような被写体も、一瞬の煌めきをとらえればこれだけの作品になるのですね。アマモの花を撮影した応募作品は他にもありましたが、放出される花粉を主役にした作品はこの1点だけでした。流れる花粉に動きを感じつつ安定感もあり、構図としても完成されています。(上出俊作)