入賞者からのコメント
10月。北谷町砂辺エリアに現れたミジュンの群れです。前情報で水深が浅いのは知っていたので、スキンダイビング・ストロボなしの軽装で挑みました。その日は様子見のつもりでしたが、数の多さと群れが優雅に動き回る姿に圧倒され、気がつけば夢中でシャッターを切っていました。しばらく撮影して、休息のため水面に浮いて観察を続けていると群れは海底にいるダイバーの排気泡を避けながら動いていることに気がつきました。その姿かたちは水面から見ると嵐や台風を彷彿とさせるようで「これは面白い!」と思い、ほかのスキンダイバーがいないタイミングを見計らって撮影しました。
Profile
田中颯太 Sota Tanaka
沖縄県在住。瀬底島〈ダイブナッツ〉のガイド。経験10本にも満たないころに中古のコンデジを買って、それからミラーレス、一眼レフとステップアップ。生物写真にハマって水中写真歴は5年。ガイドする本部町の海は何度入っても「何かいるかも!」というワクワク感があるそうだ。
審査員からのコメント
あえて超スローシャッターで撮影することで躍動感を強調した表現が面白い。唸りを上げる音まで聞こえてきそうで、ワイドの応募作品の中でもダントツの迫力がありました。渦の中心から湧き上がるエアもアクセントとなっていて、群れの中心にいるダイバーが眺めている光景を想像すると鳥肌ものです。(中村卓哉)