入賞者からのコメント
妻が鹿児島に2か月ほど出張中、週末はダイビングを楽しんでいると聞いたので「けしからん!」と自分も休みを取って合流しました。タコクラゲのことは知っていて、ちょうど桜島が噴火していたのでできれば一緒に半水面で撮りたいと思っていました。トラブルがあってストロボ発光しなかったので、自分が持っていたライト2つ、妻のライトとショップの方のライトで照らしてもらいながら撮影しました。水面ラインができるだけ真っ直ぐになるよう気をつけました。
予定時間をだいぶオーバーするまで撮らせてもらいましたが、自分が「楽しい、楽しい」と言いながら撮っていたのでショップのオーナーもニコニコしながら嬉しそうでした。
鹿児島に行くと決めた時からどうしてもタコクラゲを撮りたかったので、はじめは現地ショップの予定にはありませんでしたが無理を言って案内していただきました。BCを浮き輪がわりに泳ぎながらの撮影でしたが、早く動くと波が立ちタコクラゲを遠くへ追いやってしまうので、できるだけバタつかないように注意しました。大変でしたが、とても神秘的な風景だったので、苦労よりも楽しかった気持ちの方が大きいです。
好きな被写体は群れや大きな生物です。例えばギンガメトルネードやサメ。海のスケールの大きさや、自分が知らなかった世界を表現する写真を目指しています。被写体に強いこだわりはありませんが、物語を想像させるようなシーンを撮りたいです。
Profile
高谷英雄 Hideo Takatani
「ダイビング頻度は仕事の状況により異なるが月に1回くらい」という東京在住の会社員。ホームは伊豆のIOP、川奈、井田、大瀬崎など。セルフで潜ることが多く前日に海況や風向きで決めている。水中写真歴は約15年。長続きしているのは「妻と共通の趣味で理解があるから」
審査員からのコメント
こういう写真は初めて見ました。いろんな色のクラゲがカラフルで、パッと見て、1枚の写真の中に地球と宇宙の両方が映っている感じがしました。水中のほうは宇宙のような感じがして、銀河や惑星などいろんなものたちが個性的な色を出して、僕らは宇宙を潜っているように感じる。新鮮さがありました。
下の方はライトで照らしていると思うのですが、上下のバランスをきちんととって自然な感じで仕上げています。そういう技術的部分も上手でした。時間帯は朝方なのか、夕方なのか、斜光で山と雲の色合いもとてもよくて素晴らしい作品ですね。半水面で、浅いところではないでしょうから、足はついていないでしょう。そこでちゃんと光を当てつつ水面を上手く入れるのはそんなに簡単じゃないと思いますが、夢のような世界を1枚にしてくれました。(高砂淳二)
すごく地域性のある写真ですね。これまで国内でこういうシーンは見ることができなかったと思うんですが、それを日本でも見ることができる。それを作品にしてくれました。日本の海のすばらしさが感じられますね。おもしろいなと思ったのは、タコクラゲのライティングです。半水面のときの光の当て方はけっこう難しいと思うんですよ。それをすごくきれいに当てられています。純粋に技術的な高さも感じました。クラゲがさまざまな色に光っているのもおもしろいなと思いました。(古見)