Nikon D850(Nauticam) 8-15mm 自然光 f5.6 1/500秒 ISO2800 沖縄本島那覇沖 水面

入賞者からのコメント

2021年、海底火山の噴火によって軽石が発生しました。那覇発のホエールスイムに参加した僕は、水面付近に浮かぶ軽石を眺めながら、写真で表現する方法を模索していました。クジラの撮影に関わらず、他のカメラマンとは違う視点から写真を撮りたいと常にイメージを膨らませているのが僕の撮影スタイルです。軽石を思い切って構図に組み込み、そして軽石にピントが合わないように、クジラの黒白のコントラストがファインダー越しに見えた瞬間にシャッターを切りました。ニュースで軽石問題の報道を見たときから軽石とクジラは狙っていました。そのときにしか撮れないものをできるだけ写し込みたいと常に考えています。クジラの撮影は僕一人では絶対にできません。船長さんの素晴らしい操船、一緒に乗船された方々の良心的なマナーがあったからこそ今回のような作品を撮影できたと思っています。

Profile

犬飼啓介 Keisuke Inukai

今狙いたいのは「シャチの水中撮影」という岐阜在住の歯科医師。水中写真歴は4年、年に1 ~ 2回、沖縄や奄美大島に通っている。 「旅と自然が大好きで、その素晴らしさを表現するために写真を始めました。海洋哺乳類にあこがれ、初めてザトウクジラと水中で出会ったときの感動は言葉にできません」

審査員からのコメント

クジラは素晴らしい作品が多かったのですが、中でもモノクロームの親子の作品は目を引きました。クジラの周りにたくさん浮いているのは軽石ですね。2021年に小笠原諸島にある海底火山が噴火し、噴出した軽石が沖縄海域にも漂着しました。その軽石の中をクジラの母子が泳いでいる。こんなところに……とやるせない気持ちになりますがドキュメンタリー写真としては秀逸です。新聞が一面で掲載するレベルの作品だと思いますね 。(中村征夫)