入賞者からのコメント
小笠原二見港湾内のエダサンゴというポイントへ、先輩ガイドとガイド仲間で年に1度のスギノキミドリイシの大産卵を撮影しに行ったときの1枚です。下見をして一度船に上がったときに、先輩が「オニヒトデを見たよ」と話してくれたので、これはストーリー性のある1枚が撮れると思いました。スギノキミドリイシの産卵は毎年狙っているシーンですが、オニヒトデがいたのは絵作りの上ではラッキーでした。それでサンゴの産卵とサンゴを捕食しているオニヒトデを1枚の写真にすることができました。フォトコンにはいつもチャレンジしたいと思っていました。イメージした写真が撮りたいと思って海に行くのですが、なかなか納得のいくものが撮れずに断念することが多かったのですが、今回はそれがかないました。水中写真専門のフォトコンで入賞できてとても幸せです。
Profile
森田康平 Kouhei Morita
〈小笠原ダイビングセンター〉水中ガイド。小笠原生まれ、小笠原育ちで、父の影響でダイビングを始める。水中ガイドをしていくうちに生き物の生態や美しさをきちんと残していきたいと思い、水中写真を続けている。水中写真歴は9年。「海の生き物全てが好き。暇があればカメラを持って撮影しています」
審査員からのコメント
ミドリイシサンゴの産卵の瞬間だが、あえてオニヒトデの食害にあっている場面を手前に入れたことでメッセージ性を強く感じます。ただ美しい瞬間を撮るだけでなく、未来へ繋がる命と、そこにあるもう一つの事実を真摯に記録しようとする清い眼差しに強く惹かれ、一次審査の段階から審査員賞の最有力候補に挙げていました。シンプルなタイトルも奥深い。一見サンゴが主題に思えるが、オニヒトデにとってもサンゴを食べることは命を繋ぐこと。生物に優劣をつけず、等価性をもってこのシーンをとらえてた視点も高く評価させていただきました。(中村卓哉)