入賞者からのコメント
バリ島のトランバンで撮った写真です。砂地にポツンと根があってそこに大きなカイメンがついていました。カイメンのあちこちに穴が空いていて、その中にサラサエビが住んでいました。穴をのぞいた瞬間に笑っている顔に見えたので、ストロボをOFF にしてバックが青くなるように撮影しました。ワイドでは穴の中をシルエットで撮ったことがありますが、マクロで撮るのは初めてでした。まず被写体であるサラサエビが顔に見える位置来てくれない。さらにレンズからの距離が違いすぎると3匹にピントが合わない。さらに頻繁に4匹目が乱入する(笑)。けっこう大変でした。
昨年優秀賞をいただいたので、今年も頑張ろうと思って応募しました。実は昨年の入賞者にベテランが少なくて寂しく感じました。私にとってこのコンテストが水中写真を撮るモチベーションの一つになっています。
Profile
古菅正道 Masamichi Kosuge
東京都在住の会社員。水中写真歴30年のベテラン。ダイビングを始めて5年目くらいに一眼レフのハウジングを購入。その初潜りで撮った写真が大瀬崎のカレンダーフォトコンに入選。以来、水中撮影を続けている。「自分に年間100本以上のノルマを課しているので、少なくても月に1 ~ 2回は海に行っています」。
審査員からのコメント
一次審査はデータでパソコン上で行いましたが、そのときから気になっていた作品です。自然光のマクロ撮影はけっこう難しく、静止している被写体でも手ブレにより失敗することがよくあります。さらに縦位置で構図を決めつつサラサエビにピントを合わせるのも至難の技。作者の技量の高さがうかがえます。また、海のブルーと周りの黒いシルエットの間合いがとても心地いい。耳をすませば、サラサエビたちの語らいが聞こえてくるようです。(中村征夫)