入賞者からのコメント
夕焼けがとてもきれいな日でした。仕事終わりに、「今日は何か見れるかも」と期待に胸を膨らませて、お店のすぐそばの浮遊系が観察できるポイントに潜ると、いきなり目の前にタコブネが現れました。見つけたのは凪いだ水面下だったので水面反射を狙って撮影。呼吸をするたびに水面が揺れて、思うような水面反射ができず苦労しましたが、あたりが暗くなってきたころ、納得がいくこの1枚が撮れました。タイトルの「落陽」はあのきれいだった夕焼けにちなんでつけました。浮遊系生物は一期一会で潜ってみないとわからないのですが、タコブネは特に撮りたいと思っていた被写体でした。
Profile
熊谷翔太 Shota Kumagai
愛媛県の〈DIVE 愛南〉インストラクター。前職の上司にカメラを借りて、初めて撮った写真をほめてもらったのがうれしくてそのままどんどん水中写真の魅力に引き込まれたそうだ。ガイドとしてほぼ毎日潜っているので暇さえあれば撮りに行くという。水中写真歴は9年になる。
審査員からのコメント
レアな生物をとらえた写真は多かったが、この作品が審査員の目に留まったのは、水面に反射した丸まったタコブネの姿を沈む太陽に見立てたユニークな視点が高評価に繋がったからだろう。水面に漂う生物をしっかりと画角に収めながら、イメージを形にする撮影技術の高さも感じられる作品です。(中村卓哉)