Canon EOS 5D Mark Ⅲ オリジナル16-35㎜ Z-240 RGBlue BM6200G f9 1/160秒ISO200 三重県紀北町銚子川0.4m

入賞者からのコメント

撮影地は地元、三重県紀北町の清流・銚子川です。春先、産卵のために高い山から渓流に降りてきたナガレヒキガエル。あちこちでメスを巡る戦いが見られます。ペアに他のオスが近づくとメスを死守するオスの蹴りが入ります。その一瞬をカメラに収めました。

動きの少ないカエルなので、戦いのシーンを見つけると慌てて撮影に入りますが、一瞬で終わってしまいます。ペアに近づいてくるオスを見つけると、カメラを構えて待って撮影しました。蹴られたオスの降参したような姿、蹴ったオスの力強さが感じられる作品になったのはよかったと思います。機会があれば、蹴られたオスの情けない表情をもっと強調して撮りたいです。

ここで産まれたカエルはいっせいに山に登りますが、再びこの川に戻ってくるのはわずか1%です。健気な姿がより愛おしく応援したくなります。

Profile

中野篤史 Atsushi Nakano

実家の目の前が海で、幼少期から海が遊び場。社会人になり何のためらいもなくダイビングを始め、心地よい浮遊感にハマる。リアルタイムの情報が少なかった時代、自分が発信してみようと写真を撮りSNSに載せるようになる。水中清掃や復興応援などで被災地に潜ることもある。登山も趣味。三重県在住の会社員。水中写真歴は30年。

審査員からのコメント

写真がその瞬間のすべてを物語っている作品だと思います。手前の淡い色のオスが自分よりひと回り大きなメスを抱えてしっかりとガードしていますが、そのメスにあわよくば近づこうとする別のオスの存在に気づき、「あっちに行けっ!」と勢いよく蹴散らしています。蹴られたオスも「やられた~っ」と言うような表情が捉えられていて、思わず笑みを浮かべてしまうような状況です。人知れず水の中で行われている生き物たちのドラマの瞬間を、見事に一枚の作品の中に捉えています。(峯水亮)