Canon EOS R7 (marelux) 35㎜ Macro YS-250PRO、WFS-07 FIX NEO Mini 1000SWR FS , Bigblue AL1200 RAFO f32 1/200秒 ISO200 大韓民国移運防波堤 利運防波堤ビーチ 3m

入賞者からのコメント

12月初め、韓国南海ではカワハギが群れる様子を見ることができます。数は少ないですがタツノオトシゴも見られます。海草に絡みつくタツノオトシゴとそばを通るカワハギをいっしょに撮影しようと狙っていると、タツノオトシゴがヨウジウオの体に巻きついているのを見つけました。

ライトを当てると、タツノオトシゴはヨウジウオの体を頭のほうに移動していきます。その姿を追うように撮り続けていると、カワハギたちがゆっくりとその後ろを遊泳していきました。

以前にも1度だけ、タツノオトシゴがヨウジウオに巻きついている姿を見たことはありましたが、その時は背景に何もなかったので、何かがあればいいなと願っていました。狙った通り、後ろをカワハギたちが通り過ぎてくれてよかったです。もう少し粘れば、カワハギがタツノオトシゴの後ろを、反対方向に遊ぐ姿を撮ることができたかもしれないと思うと残念です。

昨年、この日本水中フォトコンテストで、準グランプリを受賞しました。第3回に挑戦して、連続受賞できて光栄です。

Profile

チョン· ミンソク Jeon min seok

韓国在住。ホームグランドは自宅から車で2時間ほどの韓国南部の海域。1月から5月までは2週間に1度、6月から12月までは1週間に1度は水中撮影に出かけている。約10年前に、人とは違う趣味を持ちたくて水中写真を始め、キャリアを積んできた。韓国国内を中心に、写真コンテストの受賞歴多数。好きな被写体はタツノオトシゴ。

審査員からのコメント

流れのある場所なのでしょうか。ハギもヨウジウオもタツノオトシゴも、みんなで同じ方向を向いています。みんな海草にすがるように身を寄せ合っていますが、タツノオトシゴだけは、ヨウジウオの首に尻尾を巻き付けて何食わぬ顔をしています。ヨウジウオにとっては当たり前のことをしているのかもしれませんが、僕ら人間には“ちゃっかりもの”のように見えて、クスっと笑ってしまいます。ヨウジウオの表情も、「割を食っているような気がするけど、まあいいか」みたいな、“お人よし” っぽさも滲み出ていて楽しいですね。それにしても、夜にこんなにも密に魚たちが集まって過ごしている光景自体とても珍しいですし、神秘的でもあります。まだまだ見たこともないようなシーンが海で繰り広げられているだろうことを想像させてくれる、素晴らしい作品です。(高砂淳二)

身近な海の知られざる時間帯に、こんな世界が広がっているとは、なかなか想像がつかないですね。夜間、アマモの側で休むアミメハギたちの群れに、ヨウジウオとタツノオトシゴまでもが絡む大共演。緩やかな流れを受けて、皆が同じ方向に並んでいるところに一体感が感じられます。ヨウジウオが「僕は掴まるところじゃないんだけどな~」と言いたげな表情をしていますが、同じような場所に住むもの同士、夜間に寄り添っているところに生態的な面白さもあります。そんな一面を世の中に伝えられることは、まさに水中写真の醍醐味です。もう少し広めに捉えて周囲の状況を見せてもよかったように思いますが、画角に収まり切れないほどに皆が寄り添っている様子が、作品として印象深く心に響きました。珍しい生物ではなく、身近な生き物の一面を捉えたところもよかったです。(峯水亮)