Nikon D850 Nauticam 14-24㎜ 自然光f11 1/320秒 ISO64 宮古島17END 水面

入賞者からのコメント

子供を授かったら、妻のマタニティフォトを水中で撮影することが夢でした。干潮のビーチは美しく、天気も良かったのですが、風が強く波もあり、また人も多かったため、半水面撮影を諦めそうになりましたが、妻が頑張ってくれたお陰で撮影できました。すべての生き物の源である海で、新しい生命への感謝、愛情、喜びを、自分なりに表現しました。

このシーンは、妻が妊娠したら、必ず撮影したいと考えていたロケーションと構図です。『誰の真似もせず、妻と我が子を撮影したい』。海底の砂紋、優しい太陽光、包み込む雲、青空、愛妻と我が子。表現したかった『母なる海』そのものでした。太陽光が強すぎると砂紋の形状がわかりづらくなるため太陽が少し雲に隠れた瞬間に撮影しました。

妊娠中の妻を危険に晒したくないので、安全面に細心の注意を払いました。妻は泳げないので、ロケーションは干潮浅瀬の一択です。僕の技術が足らず、撮影時間が長くなり、妻は日焼けしました(笑)。

Profile

犬飼啓介 Keisuke Inukai

岐阜県在住の歯科医師。水中写真歴は6年。陸で自然写真を撮るためにカメラを購入したが、水中写真の魅力を知り、今では愛機が僕の人生を豊かにしてくれる相棒と言い切る。叶うなら移住したいぐらい、奄美大島が大好きで、伝統文化も含めてすべてが素晴らしいという。人生の根源は「自然と共に育ってほしい」という両親の想いだそうだ。

審査員からのコメント

とても優しい作品ですね。奥さまの表情や仕草、水着の色、そして淡い水のグラデーションなど、すべてが優しさを感じる方向性で一致していて、見る側を大きく包み込んでくれる作品になっています。水中でマタニティフォトを撮るのが夢だったとのこと。生命の源である海への感謝や、新しい命を授かったことへの喜びなどが、場所選びから光の具合、半水面というシチュエーションまでを的確に決めたことで、見る人にしっかり伝わっています。通常このような作品には“やらせ感”が出てしまいますが、とても自然な仕上がりで、心の奥を鷲掴みにされました。(高砂淳二)