Nikon D610 Nexus 8-15㎜ Fisheye Z-330 f11 1/200秒 ISO200 静岡県大瀬崎 湾内 1m

入賞者からのコメント

撮影したのは1月の終わりの土曜日の朝早い時間です。海はほぼべた凪でした。〈大瀬崎シーキング〉の赤堀さんが波打ち際にユウレイイカがいると教えてくれました。初めは水面へのリフレクション狙いでかなりの枚数を撮っていたのですが、だんだんと日が高くなったことで、虹色の波紋がユウレイイカに写り、このような状況になりました。ユウレイイカの体が白く、逆光での撮影だったので、体が白飛びしないように、そして虹色をきれいに出すために、ストロボを弱めに調整しながら撮ったことでユウレイイカの足にきれいに虹色が入りました。

「生態的なシーンをアートっぽく」を目指しています。その意味でもレア物のユウレイイカをこういう撮り方にできて、さらにそれを選んでいただいたのでとてもうれしいです。このコンテストは1回、2回と連続で選んでいただいているので、3回連続を目指して写真選定に時間をかけました。ここ数年の自分の目標である「現状維持」は達成できたと思ってます。

Profile

古菅正道 Masamichi Kosuge

東京都在住の自称「ペンキ屋」、水中写真歴31年のベテラン。ダイビングに誘ってくれた友人の影響で水中写真を始め、5年目くらいに一眼レフハウジング購入した。ホームゲレンデは大瀬崎。台風直撃でもない限り潜れることと、情報が多いことが通う理由だ。「自分に年間100本以上のノルマを課しているので、少なくても月に1 〜 2回は海に行っています」。

審査員からのコメント

非日常性の極み、ユウレイイカだ。羨ましい、妬ましい!! 日常的に潜って見かける魚たちには無関心で、イサキやタカベ、ボラなどを見ても興奮しないが、深海魚が現れようものなら、大騒ぎ! 海外からでも、いい大人がカメラを担いで飛んでくる。リュウグウノツカイ、サメハダホウズキイカ、チョウチンアンコウ……、枚挙にいとまがない。ユウレイイカはそんなラインナップの最先端に位置する憧れの生物だ。煮ても焼いても食べられない不味いイカだそうだが、我々に出会うまでの深海からの道のりを想うと、ウットリとしてしまう憧れのスターである。(中村宏治)