
入賞者からのコメント
小笠原諸島父島で、ミナミハンドウイルカとドルフィンスイムを行ったあと、別ポイントでハシナガイルカの群れと出会いました。船のすぐ横を泳いだり下を通ったり、かなり近づいてくれるのですがスイムはできませんでした。ベタ凪で周りにはボートもいない状況。船長さんの協力もあり、船から直接カメラを突っ込んで撮影しました。いくら凪とはいえ、水圧に負けそうになりながら必死にシャッターを押しました。
快晴、凪、イルカたちと出会った場所などすべての要因が重なって撮影できた1枚です(船長さんとコミュニケーションを取り、安全面はしっかり確保した状態で撮影しています)。ダイビングを始める前からイルカは憧れの存在でしたが撮影するのは初めてでした。左上の泡がいい感じに入ってくれたのが気に入っていますが、よく晴れていたのでもう少し、水中に差し込んでいる光を表現したかったです。
今回、新しく水中用に一眼レフとハウジングを手に入れたので思い切って応募しました。

Profile
土屋凪沙 Nagisa Tsuchiya
たまたま知人に誘われてダイビング講習を受ける。サーファーだった父の影響で小さいころから海が身近だったことと、イルカ好きで水族館に通っていたことからすぐにダイビングにハマる。最初はGoProだったが、先輩ダイバーにTGをもらったことがきっかけで水中写真を始める。水中写真歴は4年。沖縄宮古島在住のダイビングインストラクター。
審査員からのコメント
ハシナガイルカたちの世界を覗いているような、海にお邪魔しているような気持ちにさせてくれる優しい写真です。前ボケに入っている泡が写真に奥行き感を出し、僕たち人間とイルカの距離感をうまく作っています。写真だけではなく「憧れ」というタイトルから作者の海や野生動物へのリスペクト、生き物への寄り添い方が出ていて素敵です。コンテストに応募する場合、力強い写真や貴重な光景など狙いすました1枚を選ぶ方が多いですが、スナップ写真のように海の中で出会ったこと、感動したことを切り取る楽しさを改めて感じました。(茂野優太)