
入賞者からのコメント
厳寒期、ダイビング器材やカメラ機材を大きなソリに積んで湖上をみんなで引っ張って撮影場所に向かいました。タンクやウエイト、カメラ機材が重くてなかなか進まず、着いたときには汗だくでした。氷に穴をあけてエントリーすると今まで見たこともない光景が広がっていて、夢中でシャッターを切っていた気がします。厳しい環境でしたが、しっかりと安全管理していただいたので撮影に集中できました。上がったとたん、ドライスーツについていた水滴がすぐに凍り始め、動くたびにパラパラと落ちました。
いろいろな条件が揃わないと撮影が難しいのですが、チャンスがあったことに感謝しています。着底したり、強くフィンキックをすると湖底の珪藻が巻き上がるため 動き方を調整しながら慎重に泳ぎ、気に入ったバブルの形を探し、レンズを向ける角度を考えながら撮影しました。

Profile
鎌田祥子 Sachiko Kamada
ずっとやりたかったダイビングを始めた頃に、たまたまナメダンゴの写真を見たことがきっかけで羅臼の海に向かうようになる。そこで尊敬する水中写真家に出会い、自分も撮ってみたいとカメラを持つように。羅臼は四季折々、様々な生き物との出会いがある宝箱のような海。約25年羅臼の海に通い、潜り続けている。北海道在住の保育士。水中写真歴は20年。
審査員からのコメント
見たことない氷の光景に目が止まりました。氷の透明感の高さと平らな形から、湖か川の淡水が凍った写真でしょう。湖底から湧き出たガスが氷に閉じ込められたアイスバブルのような跡、そこにダイバーの泡も合わさって美しい模様を作り上げています。撮影者が吐く泡も氷の下を通り、息を吐くごとに泡の形は変わってしまうはずです。水温が0度近い寒冷地で呼吸のコントロールをしながら、中性浮力で氷にここまで寄って撮影をする。撮影者の寒冷地での知識と技術があるからこその作品です。(茂野優太)