「審査員の手を止めさせるインパクトが大切」

むらいさちさん(Sachi Murai)/写真家

自分の作風は「ふんわり」ですが、写真コンテストで審査を行う場合には、作風にこだわらず、作品としてすばらしいかどうかをフラットに見ています。僕が審査員だからふんわりした作品を応募しようと考える方もいるかもしれませんが、それはあまり関係ないですね。
逆に「ふんわり」に対してはハードルがとても高いので、違うアプローチの方がいいかもしれませんよ(笑)。ふんわりした作品を応募してくださるのはうれしいですが、それで選ぶことはありません。
僕一人が審査員のフォトコンでは、「ふんわり狙い」でくる人もいますが、そういうのはあまり好きじゃないですし、審査員のカラーが強く出てしまうと、フォトコンが不公平になってしまうと思うので、私情は入れずに選んでいます。
ただ、日本水中フォトコンテスト(JUPC)には、審査員賞がありますよね。そこは自分の個性を出して選びますから、「ふんわり」になりそうですね。

フォトコンは1枚勝負なので、審査員の手を止めさせるようなインパクトがとても大切です。僕の写真のように雰囲気重視の作品はどうしても弱くなってしまいます。
日ごろからふんわりした作風で撮っている方は、アクセントがある写真をセレクトするといいと思います。たとえば、かわいいクマノミというだけではなくて、かわいいクマノミが卵を守っているシーンというようにアクセントが入っている。
それでもゆるふわ作風は雰囲気重視なので、1点勝負だと、負けてしまいがちで、フォトコンにはあまり向いていません(苦笑)。でも、いい作品であれば上位に選ばれると思うので、ふんわりでチャレンジしてみてもいいと思います。

フォトコンがすべてではありませんが、写真を撮るひとつの目標とするのはいいと思います。1年間写真を撮っていくなかで、JUPCに入賞したいという目標を持つと、コンテストに出せるような写真を撮りたいという気持ちになり、写真も上達すると思います。恒例行事にしてもいいですね。まずは応募しなくては何も始まらないので、ぜひ、応募してみてください。

むらいさち プロフィール
ゆるふわ写真家。東京都生まれ、埼玉県育ち。沖縄に移住しダイビングガイドとして活動した後、地元に戻り写真の勉強をスタート。ダイビング雑誌の出版社勤務を経て独立。 水中だけでなく山、森、花、さまざまな生き物などを独特の感性と色彩で撮り続けている。優しい色調のふんわりした作風は「ゆるふわ」としてひとつのジャンルを確立しつつある。
muraisachi.com