峯水亮

他の人に自分の作品を見てもらうことに挑戦してほしい

峯水亮さん(Ryo Minemizu)/海洋写真映像作家

フォトコン審査で心がけていること

まずは作者が何を伝えたかったかを正しく理解することです。二番目には作品が撮られた状況を正しく読み取ることです。どのように撮られたか、意図したものか、偶然なのか、その撮影において正しいダイビングスキルで撮影されていたのかも含めて厳正に見極めながら、作品の意図と価値を判断して選考したいと思います。

審査で重視するのは?

一番重要視している点は、作者が伝えたかったことが、その写真に表現されているかどうかです。写真が何を物語っているかを最初の選考基準にします。
作者の伝えたい思いが明確にあり、それがそのとおりに写真で伝えられるかどうかは、表現力とテクニックなわけですが、まずはそんな作品であることが選考の一基準となります。
たとえばすごくきれいな写真だったとしても、そこに意図するものがなければ、見る人には「きれい」で終わってしまい、その先には何も残りません。特に、シャッターを切る瞬間は作者が「今だっ!」て思い、押しきった瞬間が作品になるわけですが、そこに写真のセオリーに基づいた構図だったり、意図したライティングが加わることで作品としてまとまるわけです。
しかし、ある程度写真のセオリーを知っている人なら、そのくらいの作品を撮れる人はたくさんいるのが現実です。そのような作品の中から一つ抜き出て選ばれるとするなら、それは作品から伝わってくる強いメッセージがあるかないかです。もう一つ大事なのはオリジナリティですね。これまでに見たことがない生き物のシーン、撮り方、シチュエーションも含めて、誰かのマネでないものを見せてください。

その先に新しい世界があるかもしれない

写真家になってから25年くらいは商業写真に徹していた時期があり、その間はまったくフォトコンテストに応募したことがなかったのですが、商業写真から転換して自分の作品を撮るようになってから、自分の作品をより多くの人に注目してもらいたいと思うことがあり、2016年頃から国内外のフォトコンテストに数回だけ応募してきました。
幸いなことに、いずれもグランプリや1位を授賞させていただき、その副賞でアメリカにて写真展を開催したことによって、世界に注目していただく機会を得ることができました。誰かに自分の存在を知ってもらうという意味でも、フォトコンテストに応募して作品を発表するというのは、大きな効果があるように思います。

感動の瞬間を伝えよう

自然には二度とない瞬間があります。一瞬を逃さずに捉え、思いを多くの人に共有する。写真はそのための力強い手段の一つです。これまでフォトコンテストに応募したことがなくて、応募するか迷っている方がいるならば、他の人に自分の作品を見てもらうことについて躊躇わずに挑戦してみてください。もしかしたらあなたの作品を見て、海に潜ってみたいなと思う人が現れたり、自然や生き物に対する考え方が変わったり、人の人生に変化をもたらし、世の中が変わるきっかけになるかも知れません。
繰り返しになるかもしれませんが、写真のセオリーはとても大切なことですが、常識や技術だけにとらわれずに、作者がもっとも伝えたかったことや感動的なその瞬間が伝わってくるような、そんな素晴らしい作品を見せていただけることを今回私はとても楽しみにしています。たくさんの方に対して「これを見て!」という作品があったらぜひ応募してください。

峯水亮 プロフィール
大阪府枚方市生まれ。西伊豆大瀬崎でダイビングガイドとして活躍した後、1997年にフリーの写真家として独立。第5回 日経ナショナルジオグラフィック写真賞 グランプリ受賞。写真集『Jewels in the night sea - 神秘のプランクトン』など著書多数。「クレイジージャーニー」「世界まる見えテレビ特捜部」「世界の果てまでイッテQ」などに出演ほか、自らも自然番組の撮影を手掛ける。さまざまな浮遊生物をフィールドで観察できるイベントBlack Water DiveⓇを国内外で主催。
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