「撮影者の視点が伝わってくる写真を評価したいです」

古見きゅうさん(KYU FURUMI)/水中写真家

写真を評価するはほんとうに難しいです。読み解いていいなと思う写真もあれば、パッと見ていいと思う写真もあります。どちらもいい写真です。
フォトコンの一次選考では、非常に多くの写真を見て、脱落する写真を弾いていくわけです。1点ずつじっくり見ることはできなくても、結局、目に留まるのはいい写真だと思うんですよ。絶対に目が止まります。

審査をする際は悩まない。いや、結局は悩むのですが、直感的に選びたい、「ああ、いい写真だな」という感覚を大切にしたいと思っています。訴えかけるような写真、「力強さ」でしょうか。

言葉にするとわかりにくいかもしれないですが、写真が訴えるものをちゃんと掴み取りたいですね。構図がいいとか悪いとかではなく、訴えるものがある写真を評価したいと考えています。言い換えれば、撮影者の視点が伝わる写真ですね。視点があることによって、撮影者の立ち振る舞い、被写体との関係や狙いが伝わってきます。

露出を合わせれば、写真は撮れる。すごく簡単なはずなのに、あれこれ考えすぎて、写真を難しくしている方が多い気がします。コンテストも難しく考えずに応募して欲しいです。応募がきっかけで、人生が変わるかもしれませんよ。僕は人がどう言おうが、コンテストには自分が一番いいと思う写真を出していました。それは今にも繋がって、自分の中の基準のようになっています。

古見きゅう プロフィール
本州最南端の和歌山県串本町でダイビングガイドとして活動したのち写真家として独立。東京を拠点に国内外の海を飛び回り、海の美しい風景やユニークな生き物などを積極的に撮影し、さまざまな媒体で発表している。2016年、撮影プロダクションAnd Nine株式会社を設立。2020年には、20年間撮りためてきた日本の海を約130点の作品で展示した写真展「JAPAN’S SEA」を開催、評判を呼んだ。近年は一眼カメラでの動画作品制作も精力的に行い、企業のPVやTV番組などへの映像提供も手がけている。1978年、東京都生まれ。